ドラマ『ザ・ロイヤルファミリー』が人気な5つの理由

TBS系日曜劇場『ザ・ロイヤルファミリー』が、放送開始から視聴者を釘付けにしています。

競馬の世界を舞台にしたこのドラマが、なぜ競馬ファン以外の層までも虜にするのでしょうか。

妻夫木聡さん演じる税理士が馬主と出会い、競馬の世界へ飛び込む——そこから始まる20年の物語には、単なるスポーツドラマを超えた何かがあります。

夢を追う大人たちの熱さ、家族や仲間との絆、そして人間と馬が織りなす奇跡。

理由1：圧倒的な映像美——馬への愛が生んだ「本物」の迫力

画面に映る競走馬の息づかい、筋肉の躍動、風を切る鬣——

馬を「ただの背景」ではなく、「生きた存在」として丁寧に撮影する制作陣のこだわりが、画面の隅々から伝わってくるのです。

特に話題を呼んだのが、第2話ラストの坂を駆け上がるシーン。

画面いっぱいに緑が広がった後、ロイヤルイザーニャが颯爽と姿を現す演出に、競馬ファンからも「やられた!」と感嘆の声が上がりました。

このシーンは単なる競走シーンではなく、希望と勝利への道を視覚的に表現した名場面として、多くの視聴者の記憶に刻まれています。

また、目黒蓮さんのナレーションでG1の意味を説明した回では、伝説の三冠馬・オルフェーヴルが繰り広げた2013年有馬記念の実際の映像が使用され、SNSで大きな反響を呼びました。

競馬の歴史へのリスペクトと、過去の名場面を現在の物語に織り込む演出の巧みさに、思わず唸ってしまいます。

「お金かかってる。さすが日曜劇場」という声が続々と上がっているのも頷けます。

馬の美しさ、力強さ、そしてレースの緊張感を余すところなく捉えた映像は、競馬を知らない視聴者でも思わず息を飲むほどの迫力。

制作陣の本気度が、画面を通じて確実に伝わってきます。

理由2：競馬を知らなくても泣ける——「人間ドラマ」としての普遍性

「馬が勝てば、救われる人がいる」——このシンプルで力強い構造が、競馬に詳しくない視聴者の心も鷲掴みにしています。

主人公の税理士・栗須栄治(妻夫木聡)は、父を亡くし「裏切ってしまった」という絶望感から仕事への意欲を失っていました。

大手税理士事務所で「この1年の君の勤労意欲の低下には戸惑っている」と指摘される場面から物語は始まります。

そんな彼が、馬主の山王耕造(佐藤浩市)と出会い、競馬の世界に身を投じることで、父が残した「人に感謝される仕事を」という言葉を思い出し、再び前を向き始めるのです。

この「絶望の底から立ち上がる」という普遍的なテーマが、競馬という特殊な舞台を通じて描かれているからこそ、多くの視聴者が自分自身の経験と重ね合わせることができます。

栗須が競馬事業部の存続のために奮闘する姿は、誰もが経験する仕事への情熱や責任感の物語として響くのです。

レースシーンは単なる競技ではなく、登場人物たちの人生が賭けられた「物語のクライマックス」。

だからこそ、馬券を賭けていなくても胸が熱くなる——ワールドカップで日本代表を応援するときや、贔屓の野球チームが優勝を争う試合で自然と力が入ってしまうあの感情と、まったく同じ気持ちになれるのです。

理由3：豪華キャストの熱量が生む「本物の感動」

本作を支えるのは、主演・妻夫木聡さんを筆頭とした実力派キャスト陣。

それぞれが持つ個性と演技力が、作品全体の熱量を押し上げています。

妻夫木聡さんが演じる栗須栄治は、まっすぐで誠実な税理士。

「誰かのために動く強さ」と涙の演技が、視聴者の心を揺さぶります。

佐藤浩市さんが演じる山王耕造は、カリスマ性と人間味あふれる馬主。

目黒蓮さんが演じる謎の青年・中条耕一は、屈託のなさと影を併せ持つ演技で物語に深みを与え、松本若菜さんは牧場に生きる女性として馬への愛情を体現。

高杉真宙さんは騎手らしい体幹の強さで、競馬シーンに臨場感をもたらしています。

特に佐藤浩市さんのキャスティングが作品に大きな力を与えています。

人前での罵倒もいとわぬ耕造は、このご時世、視聴者から敬遠される可能性もある人物。

しかし佐藤さんが演じることで、情に厚く人間味あふれる魅力的な人物として描かれているのです。

そんな耕造の厚みに、「社長は私にかけることができる」と正面からぶつかれる栗須のまっすぐさを体現する妻夫木さんの演技も見事です。

原作者・早見和真さんも「幸せだと思えるほど、全員がこの作品に向き合っている」と語っています。

一人ひとりの芝居が素晴らしく、超一流の役者と素晴らしい原作・脚本・演出が見事に調和した結果、視聴者の心を強く打つ作品になっているのです。

理由4：「簡単には勝てない」リアルな展開が生む深い感動

本作が多くの視聴者の心をつかむ理由の一つが、「簡単には勝たせない」という脚本の巧みさ。

毎回勝利するのではなく、勝利と敗北が絶妙なバランスで描かれることで、より深い感動が生まれています。

第1話では2着。

処分されかけた馬の挑戦は、「勝たなければ未来がない」状況での惜敗でした。

第2話では芝からダートへの大博打が成功し、調教師交代という大きな変化の中での勝利。

第3話はレースシーンがなく、牧場で馬が生まれる場所、人が馬に託す想いの始まりが描かれました。

第4話では荒れ馬ロイヤルホープが初勝利。

中央移籍した佐木騎手が荒馬を乗りこなします。

しかし第5話では、ついに日本ダービーに挑むも届かず2着。

第6話の引退レース・有馬記念でも2着。病気と闘う耕造の想いを背負っても勝てない悔しさが、ありありと伝わってきました。

そして第7話——ロイヤルホープの子・ロイヤルファミリーが勝利を掴みます。

これまでの悔しさを報いる感動的な勝利に、3話ぶりの1着に、見ているこちらまで涙が出そうになったのは、これまでの積み重ねがあってこそ。

「馬が走るだけで熱い気持ちになる。

競馬には興味がないけど、裏方の頑張りをみるのは面白い」という声が上がっているように、勝利の価値を高めるための敗北の描写が、効果的に機能しているのです。

理由5：意外な「女性層」からの圧倒的支持

通常、日曜劇場は「お父さんたちを元気づける作品」のイメージが強く、男性視聴者をターゲットにした作品が多い枠。

しかしこのドラマは、ミドルエイジの女性たちの間でも大きな話題になっています。

ドラマコラムニスト・小林久乃さんは「各所で『ロイヤルファミリー見ている?』と話題にあがる。私を含めてミドルエイジの女性たちの間でも人気だ」と指摘。

SNSでは「泣ける」「馬の気持ちになった」という女性視聴者からの声が相次ぎ、放送中のハッシュタグを追いかけてみると、女性からの投稿が圧倒的に多いという現象も起きています。

この女性層からの支持の理由として、まず馬という存在への共感が挙げられます。

馬は言葉を話せません。だからこそ「彼らの想いを汲み取ろうとする人間たち」の姿に感情移入しやすいのです。

「感動するシーンが多すぎて目頭が痛い」「終盤シーンは見てるこちらも泣けた」という感想が多く見られます。

また、単なる男のロマンではなく、家族や仲間との絆、20年にわたる継承と克服の物語という側面が、幅広い層の共感を呼んでいます。

山王耕造の家族への思い、栗須栄治の父への想い、そして馬への愛情といった普遍的なテーマが、競馬という特殊な世界を通じて描かれることで、多くの女性視聴者の心に響いているのです。

さらに、玉置浩二さんが歌う主題歌「ファンファーレ」がエンディングで流れると、感情が一気に押し寄せる余韻も大きな魅力。

この楽曲がドラマの世界観を完璧に表現し、視聴後の感動をさらに深めています。

でも「競馬のドラマでしょ？ついていけるかな…」と迷っている方にはこちら ▶『ザ・ロイヤルファミリー』競馬に興味なくても面白いのか？徹底レビュー

「物語の力」が生み出す奇跡——これからも目が離せない

『ザ・ロイヤルファミリー』は、競馬という題材を扱いながらも、その本質は人間と馬が織りなす深い絆の物語です。

圧倒的な映像美、豪華キャストの熱演、丁寧な脚本、リアルな展開、そして主題歌が生み出す余韻——これらすべてが融合し、視聴者の心を強く揺さぶっています。

「勝たなければ未来がない」という切迫した状況の中で、それでも夢を追い続ける人々の姿は、競馬を知らない視聴者にも普遍的な感動を届けています。

一つひとつのカットが美しく、出演者のひとりひとりの芝居が心に残る——非の打ちどころがないほど完成度の高い作品です。

競馬事業部の存続、山王耕造の病、謎の青年・耕一の存在、そして有馬記念への挑戦——物語はこれからさらに大きな決断や別れが描かれていきます。

耕造の引退、栗須の苦悩、ホープの血を継ぐ馬の未来など、まだまだ多くのドラマが待ち受けています。

「最後はきっと泣かされるんだろうな」という予感を抱かせながら、毎週日曜日を心待ちにさせる力を持つこのドラマ。競馬を軸にしながらも、家族・仕事・人生の選択が複雑に絡み合う人間ドラマとして、ますます深みを増していく『ザ・ロイヤルファミリー』から、今後も目が離せません。

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『ザ・ロイヤルファミリー』基本情報

TBS系 日曜劇場『ザ・ロイヤルファミリー』
毎週日曜 21:00〜21:54放送
主演：妻夫木聡
原作：早見和真『ザ・ロイヤルファミリー』（新潮文庫）
主題歌：玉置浩二「ファンファーレ」
出演：目黒蓮、松本若菜、安藤政信、高杉真宙、津田健次郎、吉沢悠、黒木瞳、佐藤浩市 ほか

▶『ザ・ロイヤルファミリー』についてもっと知りたい→『ザ・ロイヤルファミリー』完全ガイド